今回ご依頼いただいたのは、親ドアの左右に袖があり、その上に丸みを帯びた欄間が設けられた、スウェーデン製の木製玄関ドアです。
石張りの外壁とアーチ型の欄間が調和した、重厚感のある大変立派な玄関です。
初めて拝見したとき、職人である私たちも、
「この玄関ドアが再塗装によって美しく蘇ったら、どれほど素晴らしい姿になるだろう」
と、完成した姿を想像して心が躍りました。
スウェーデン製の木製玄関ドアにはいくつかの種類があり、使用されている素材や塗料もそれぞれ異なります。今回のドアは、その中でも比較的再生に適したタイプでした。
ただし、木製であればすべて同じ方法で施工できるわけではありません。素材と既存塗膜の性質を正しく見極め、そのドアに適した施工方法を選ぶには、長年の経験と専門的な知識が必要です。
それでは、施工前の状態からご紹介します。
スウェーデン製木製玄関ドアの施工前の状態

中央の親ドアと左右の袖では、木部の色に違いが見られました。
おそらく前回の塗り替えでは、中央の親ドアだけを取り外して持ち帰り、左右の袖と欄間は現地で施工したものと思われます。
施工方法や使用された塗料が異なれば、その後の塗膜の状態や劣化の進み方にも違いが生じます。
今回は玄関全体の状態を確認し、それぞれの部分に適した下地処理を行いながら、最後に色とと艶が自然に調和するよう仕上げていきます。
場所によって異なっていた塗膜の劣化




木製玄関ドアは、設置されている場所や雨・紫外線の当たり方によって、同じ一枚のドアでも部分ごとに劣化の進み方が異なります。
今回のドアは上部にまだ艶が残っていましたが、表面を詳しく確認すると、塗膜には粗さや細かな凹凸が見られました。
特に窓の下部や装飾の凸部分には雨水が残りやすく、周囲よりも塗膜の剥がれや傷みが進んでいます。取っ手周辺にも塗膜の傷みが見られ、木地が露出している部分もありました。
艶が残っているからといって、塗膜全体の状態が良好であるとは限りません。見た目だけで判断せず、それぞれの場所の傷み方を確認したうえで、必要な下地処理を見極めることが大切です。
施工前から塗膜が剥がれていたドア下部

ドア下部では既存の塗膜が密着力を失い、触れるとポロポロと剥がれるほど劣化が進んでいました。
この状態の上から新しい塗料を重ねても、弱った古い塗膜と一緒に再び剥がれてしまいます。
美しい見た目と耐久性を取り戻すためには、表面だけを整えるのではなく、劣化した塗膜を取り除き、木地の状態から見直す必要があります。
古い塗膜をすべて落とし、下地から再生します



ここから本格的な再塗装工事の開始です。
中央の親ドアだけでなく、左右の袖とアーチ型の欄間も含め、劣化した既存の塗膜を丁寧に取り除いていきます。
木製玄関ドアの再塗装で、私たちが最も神経を使う工程の一つが、この古い塗膜を落とす作業です。
荒っぽく削れば作業は早く進みますが、木地を傷めたり、細かな形状を崩したりすれば、その傷は塗装後の仕上がりにも現れてしまいます。
特に今回のような装飾の多い玄関ドアでは、機械だけに頼ることはできません。完成した姿を想像しながら、細部まで手作業で研磨し、表面を少しずつ整えていきます。
塗装は、上から色を付ければ完成する仕事ではありません。この下地作りが、その後の美しさと耐久性を大きく左右します。
丁寧な下地作りで、装飾本来の美しさを蘇らせました


左の画像では、細かな曲線で構成された装飾部分の仕上がりを大きくご覧いただけます。右の画像は、中央の親ドアと左右の袖を含めた、玄関下部全体の仕上がりです。
彫りの深い装飾部分は、古い塗料が細部に残りやすく、荒っぽく削れば繊細な形そのものを傷めてしまいます。
一つひとつの曲線を崩さないよう手作業で整え、色と塗膜を丁寧に重ねたことで、装飾の陰影がはっきりと現れました。
中央の親ドアと左右の袖にも自然な一体感が生まれ、スウェーデン製木製玄関ドア本来の重厚感と美しさが蘇りました。
完成後の美しさは、塗料だけで生まれるものではありません。その前に行った地道で繊細な下地作りが、最終的な仕上がりを大きく左右します。
スウェーデン製木製玄関ドアが、重厚な美しさを取り戻しました

古い塗膜の除去から始まり、細かな下地調整と色合わせ、塗装を重ね、親ドア・左右の袖・アーチ型欄間を含む玄関全体の再塗装が完了しました。
施工前には中央の親ドアと左右の袖で色や塗膜の状態が異なっていましたが、それぞれの木部の状態に合わせて調整し、玄関全体が自然に一体化するよう仕上げています。
丸みを帯びた欄間、ガラスを囲む木部、そして繊細な装飾の陰影まで美しく際立ち、この玄関ドアが本来持っていた重厚感と華やかさが蘇りました。
初めて拝見したときに想像した以上の仕上がりとなり、職人である私たちも、完成した玄関ドアをしばらく眺めていたくなるほどでした。
完成した木製玄関ドアを眺めると、疲れを忘れます
木製玄関ドアの再塗装は、一般的な一枚ドアであっても、施工後に疲れが残るほど体力と神経を使う仕事です。
完成した姿だけを見ると華やかな仕事に見えるかもしれませんが、実際には古い塗膜の除去、細かな研磨、色合わせ、塗装と乾燥を何度も繰り返します。
特に今回のような親ドア・左右の袖・アーチ型欄間を備えた玄関は、一般的な家具塗装以上に広い範囲へ気を配り、それぞれの木部を自然に調和させなければなりません。
それでも、すべての作業を終えて美しく蘇った玄関ドアを見ると、それまでの疲れが不思議と消えていきます。
職人である私たち自身も、完成したドアをいつまでも眺めていたくなる――それが木製玄関ドア再塗装という仕事の魅力です。
木製に見えても、再塗装できるとは限りません
弊社では、ヤマハ・アイカをはじめ、国内製から海外製まで、さまざまな木製玄関ドアの再塗装に対応しております。
ただし、木製玄関ドアは製造された国やメーカー、年代、使用されている素材や既存塗膜によって、適切な施工方法が異なります。
近年では、一見すると木製に見えても、実際には再塗装に適さない素材で作られた玄関ドアも増えています。このようなドアへ木製ドアと同じ施工を行うと、十分な仕上がりや耐久性を得られない場合があります。
また、本物の木製ドアであっても、素材や既存塗膜を見極めずに作業を始めれば、かえって状態を悪化させることがあります。
木製玄関ドアの再塗装には、長年の経験、素材を見極める知識、確かな施工技術が必要です。そして何より、お客様の大切な玄関ドアを預かる仕事として、誠実に向き合う姿勢が欠かせないと私たちは考えています。
木製玄関ドアの塗装・再生をご検討中の方へ
弊社では、玄関ドアごとの状態に合わせた丁寧な下地処理と専門的な塗膜再生により、本来の木目の美しさと質感を蘇らせます。
その他の施工事例や、全体の作業工程・料金については、下記の専門ページよりご確認いただけます。
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